レッスン体験談
10回レッスン体験談
松村舞さん 20代女性 楽器演奏(フルート・民族楽器)
ATを学びながら、楽器演奏や日常生活への応用する過程で、ご自身の可能性を発見していくさまが書かれています。
学んだことの中で特に大きかったのは、今まで自分が頼っていた「感覚」というものへの理解とアプローチが変わったことです。自分が持つ習慣的な感覚と、実際の身体の状態との間に大きなずれがあることは、楽器奏者である私にとって重要な気付きでした。
そのことをまず体感したのは初回レッスンの初めに姿勢を整えてもらったときのこと、その姿勢はかなり前傾した「違和感」のあるものに感じられたのですが、促されて鏡を見ると、そこにはすっきりと無理なく直立する自分の姿があり、全く前傾などしていなかったのです。今ま で日常動作だけではなく、楽器を演奏する際にも頼っていた「感覚」が、現実と大きくずれていたことは、非常にショッキングな体験でした。
そこからレッスンを進め、感覚を再現しようとするのではなく、その状態へ至るプロセスに注目することがわかってくる と、かつて学んだ煩雑なテクニックやメソッドの処理に追われることが無くなりました。演奏に対して必要な思考をシンプルに出来たことで、音そのものへの集中度が高まったのか、聞こえる音の解像度が一気に広がり、十年以上の演奏生活の中で、今が最も鮮やかな音の中にいると感じます。
難しかったのは、反射的な反応を抑制することでした。これまで無意識に行ってきた、楽器を手に取り口に当て吹く、と いう習慣的な動作に対して何度もストップがかかりました。楽器演奏の場合は、出てくる音が自分の状態のバロメーターとなるため、楽器を鳴らした瞬間、この プロセスを飛ばしてしまったことにハッと気付くことがままあります。動作一つ一つに間を置き、次の動作を選択していくことで、新しく学んだ考え方を自分自身へ落とし込む隙間を作りやすくなりました。
レッスンで学んだことは、楽器演奏などに限定したアプローチではなく、実生活にも広く応用できる基本となる考え方の 体系でした。また、我々の身体がどのようにデザインされているかについても繊細に観察したことで、日常のあるゆる状況において、自分の状態を分析するための指標が出来たと感じます。
今回、中島先生には当初予定していたフルートだけではなく、西洋楽器とはかなり構造を異にするボリビアの民族楽器を 通したレッスンもお願いしました。恐らく殆ど触れる機会の無い楽器であるにも関わらず、それらの楽器の特性ごとに、どのように身体を使えば良いかを真摯 に、一緒に考えていただきました。一回ごとにどのような新しい発見があったのか、何を学べたかについてもしっかり確認していただき、非常に充実したレッスンを受けられたと感じています。
これまで十年以上楽器を演奏していて、最も劇的な変化のあった一ヶ月でした。十年の中で、いつの間にか練習ごとの身 体の痛みや、演奏に伴う精神的な苦痛が楽しみを大きく上回り、周囲のプレイヤー対しても酷く劣等感を抱くようになっていたのだと、気付くことが出来まし た。今まで鳴らしたことのないような豊かな音がスタジオに響くたび、自分と楽器にまだ多くの可能性があったことを知り震えるほど感激しました。日常生活に おいても、自分の状態を分析・観察することが出来るようになり、多くのプレッシャーや過負荷から解放され、演奏以外のパフォーマンスも向上しつつありま す。今後も長く自分と向き合うために、今回学んだアレクサンダー・テクニークを活用していこうと思います。本当にありがとうございました。
入門ワークショップの体験談
井戸晴美さん 静岡県熱海市 女性
※2015年7月にJ-REBT(認知行動療法の中核的技法)学会大会で行ったアレクサンダー・テクニークの入門ワークショップの感想です。
REBTは認知(考え方)を変えることで、感情をラクにし目的に取り組む技法です。詳細はこちら
「アレクサンダーテクニーク」とは一体なんぞや?とほとんど知識を持たず入門コースに参加いたしました。25人が講師を取り囲み、背骨と頭の関係の説明をしていただき、普段まったく考える事もなく、えっ?と思いながらも、耳の後ろを指で押さえ右向いたり左向いたり、はたまた歩いたりと。
「どうですか?わかりますか?」
はっきり言ってまったくわからない。あれれ?あれれれ?次々にやっては頂いているがなんとなく皆、キョトンとしたお顔。再度トライ!「どうですか?」
「・・・・・わかった・・・ような気がする・・・。」「で、REBTとどんな関係なんだろうか?」こんな声を聞きながら、コースは続いていった。
「では、歩いてみて下さい。」講師の声に歩いてみるが、なんたって右手と右足が一緒に出てる人、ロボットになってる人、案外いつもと変わらず歩いている人。私自身は、普段より少し前傾姿勢な印象が残った。
なんだか面白いなあこのコース、とひそかに笑いをこらえていた。
さて、私はと言えば、どうしてもREBT,REBTと無理やりにでも関連ずけなければならない!のならない病に冒され、当初はかなり混乱している、いや惑乱か??
そして、ふと気づいた。使わなくてもよい筋肉を必死で使っている自分に。だってよほどの事がなければほとんど意識しない領域。耳の後ろの、なんて思っているうちに肩の力が抜けている事に気づく。
そうしているうちに、いろいろな気づきに遭遇した。
午前でご一緒した方の、力の入っていない心地よい頷き方に感心していたが、私は職場で無意識に戦闘体制で人の話を聞いていたのではないんだろうかと。だから相手も緊張していたのかも知れない。相手が緊張しているから、必死にわかるように説明したつもりでいたが、実は私が目一杯力んでいたのが伝わっていたのではなかろうかと、今更ながら気づいたのである。
そうだ、クライアントの話を聞いているカウンセラーの良い例、悪い例の写真をコースの初めに見せられたっけ。もしかしたら、合唱の練習に効果があるかも知れないと密かに期待もしながら。。
コースを受けた二日後、合唱団の練習に参加した。個人レッスンでは問題ないのに、集団で歌うと、リラックスどころかなぜか高音が出にくくなる困った事がずっと起きていたのだ。「貴方の声はひびくのよ。」とベテランさんに言われた時から、目立ってはいけない合唱なんだからと自分に言い聞かせ、萎縮していた。
この方の本意はわからないが、その時の私は迷惑そうに見え、そう聞こえたからだ。ここは、まだ思考のゆがみが残っているわけで。
練習前に耳の後ろを指で押さえて右、左なんてやりながら、今までより前傾姿勢のイメージにしてみたら多少変化があるかしら?と考えながら歌いだした。おや、おや?出る出る高音が軽―く出るのである。本当に自分でもビックリしながら、すごい収穫に大満足。そうしたら、「腕は鎖骨からぶらさがっているだけ」の意味もわかってきた。日々、力を抜いているつもりが思いっきり肩に力がはいって生活していた事も、改めて気づく。
気づいては直し、直しては気づく。REBTの共通も見え参加して本当に良かったと思っている。
いろいろな事を思い出しながら、感想文を書き出した時の眉間のしわも消え、心も体も爽快な私である。